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イラク都市の爆撃を傍観してはならない
〜〜米国市民とともに米軍の戦争犯罪を告発しよう〜〜〜

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ニューヨーク・タイムズは、4月30日、イラク占領米軍の空軍将校が前日29 日に証言した内容を次のように報道した。
「過去48時間に、F-15E 、 F-16 戦闘機、艦載機の F-14 、 F-18 戦闘爆撃機 が36個の500ポンド爆弾をファルージャに投下した。日中はAH-1W スーパー コブラ・ヘリコプターが上空をホバーリングし、ヘルファイアー・ミサイルを撃 ち込んだ。夜間は、AC-130武装ヘリコプターがイラク人武装兵を輸送中のトラッ クと車を攻撃した。――空軍は、民間人に被害が出ていることを承知している。」

 人口10万の都市を包囲し、住民が避難することを困難にしたうえで、大量の爆 弾を集中的に投下したというのである。われわれが戦慄させられるのは、この大 規模な空爆作戦が、イラクを占領している統治者自身の手によって執行されたと 知らされたからである。

 統治者が自ら支配する都市を破壊し、住民を殺戮した歴史としては、ローマのネロ皇帝を初めとして、いくつかの事実がある。第2次大戦末期には、ナチ・ドイツ軍が統治していたワルシャワを壊滅させた。人類は、これらを人道に反する犯罪として永遠に記憶する。ファルージャ作戦では、その同じことを、これまでにない高い威力の爆弾を最先 端の航空機から投下するという手段で実行したというのである。新たなホロコー ストと断定せざるをえない。

 米軍が、イラク政権を武力で壊滅させ、統治者となってすでに1年を経過した。 その後に生じたこの事態の責任者は米軍最高指揮官のブッシュ大統領である。 しかし、もしこの報道に接してなおかつ、米軍のイラク統治の継続を、たとえ短 時間でも、米国市民が容認するならば、米国市民は新たなホロコーストに目をそ むける、見せ掛け民主主義者、見せ掛け人権主義者のそしりをまぬがれない。そ れでは、ナチズムを容認したドイツ人を非難できない。そればかりか、当時のド イツと異なり、米国には市民的権利が保証されているのであるから、人道に対する 罪に加担したことになりかねない。

 日本を始めとして、米国の軍事政策を支持する諸国の国民もまた、道義的政治的 責任を負わねばならない。自らが同時に生きている21世紀の地球上で、治安に 責任を負う統治者が、多数の子供たちをふくむ支配地域の住民の上に、高性能爆 弾の雨を降らせるという現状を支持するのは、いかなる口実をもうけても共犯行 為である。この事態を傍観することは、人間失格に通ずる道である。

 米軍の戦争犯罪を、国際的に告発しよう。米軍に戦闘行為をただちに中止させ、 イラクから撤退させよう。国連は一切の行きがかりを捨て、イラク国民、イラク の子供たちの生命保障措置に全力をかたむよ。この運動をすすめることが、人間を愛するすべての人々が、現在を人間らしく生きる証だと信ずる。

2004年5月6日


◆呼びかけ人◆

浦田賢治  (早稲田大学教授)
児島 徹   (反核医師・医学者の集い代表委員)
大久保賢一 (日本反核法律家協会事務局長)
渡植貞一郎 (東京反核医師の会ウェブサイト・ディレクター)