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「つたえよう ヒロシマ ナガサキ」事務局団体5団体連盟の外務省に対する国連総会決議案への抗議
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<<2001年11月1日「つたえよう ヒロシマ ナガサキ」事務局団体5団体連盟は、日本政府・外務省に対して、今回の国連総会決議案について抗議する要請をおこないました。>>

要請文は以下のとおりです。

外務大臣 田中眞紀子 殿

日本政府の核兵器廃絶への姿勢の後退を批判します

この程日本政府が提出した国連総会決議案「核兵器全面的廃絶への道程(A/C.1/56/L.35)」は、昨年採択された同名の決議より大幅に内容が後退しており、日本政府の核兵器廃絶への姿勢が確固たるものでないことを内外に明らかにするものとして厳しく批判されるべきものです。

まず第一に、2000年核不拡散防止条約(NPT)再検討会議の最大の成果である、「保有核兵器完全廃棄の明確な約束」を昨年は決議文の前文に位置づけ、全体に関わる主題として取り上げていました。ところが、今年の決議文においては、これを主文中の取るべき実際的措置のひとつとして位置づけを低めました。このことは、明確な約束を努力すべき措置にしてしまうという重大な後退と考えられます。

第二に、包括的核実験禁止条約(CTBT)について、昨年は2003年より前に発効するように求めていました。ところがこの要求をわずか1年で退けてしまい、今年の決議案では早期発効さえ曖昧な表現にしてしまいました。このことは、日本政府のCTBTに対する政策がいかにいい加減なものであったのかを示しており、核兵器廃絶へ
の本質的な意欲が見られないものです。このことはカットオフ条約に対する態度にも同様であり、非常に遺憾です。
さらに今年の決議案では、対弾道ミサイルシステム制限条約(ABM条約)についての明示的な言及をしていません。昨年の決議ではABM条約について「戦略的安定の要として、また、戦略的攻撃兵器の一層の削減の基礎として」位置づけていました。このことは単にAMB条約について避けただけではなく、アメリカの展開しようとしているミサイル防衛計画(MD)に全面的に配慮しようとするものであり大きな問題があります。

私たちは、日本政府は、核保有国に「明確な約束」を果たすよう要求し、その実行として核兵器廃絶・全面禁止条約の即時交渉開始の要求を明記すべきこと、そしてそのために積極的に行動し、実現に努力すべきだと考えます。そして政府は、「抑止の効果を妨げる」として退けている部分措置、核兵器先制使不用、非核兵器国への核兵器不使用などの個別の問題を盛り込み、支持するよう要求すべきです。
私たちは、今年の決議案を見直し、被爆国にふさわしい政府の見地で被爆者と広範な国民の核兵器廃絶の願いを受けとめた決議にするよう見直すべきことを要求します。

一.今年の日本決議案についてNPT再検討会議で確認された「核兵器完全廃絶の明確な約束」を決議案前文に位置づけ、その実行を迫っていくこと。
二.CTBTを2003年までに発効させることを改めて決意し、そのための努力をおこなうこと。
三.ABM条約の重要性を再認識し、アメリカのミサイル防衛計画に追従的な態度をとらないこと。
四.改めて核兵器の即時完全廃絶に向けて、国際社会において積極的に行動し努力をおこなうこと。



            2001年11月1日
             つたえよう ヒロシマ ナガサキ
               (事務局団体)
日本原水爆被害者団体協議会
全国地域婦人団体連絡協議会
日本青年団協議会
日本生活協同組合連合会
原水爆禁止世界大会実行委員会