核兵器の廃絶をめざす日本法律家協会
 
 
 
 
 意見 >>> 国際反核法律家協会(IALANA)に関する文書
国際反核法律家協会(IALANA)2011年シュチェチン総会報告書

国際反核法律家協会総会のシュチェチン宣言

2011年6月19日 シュチェチン ポーランド

IALANA総会は、核兵器と核エネルギーのない世界を緊急に呼びかける

  「核兵器と核エネルギーはダモクレスの剣の2つの刃である。われらは、核兵器の研究と改良によってダモクレスの刃の鋭利なほうを研磨してそれをいっそう危険なものにしている。この剣の鈍い刃もまた、原子炉の拡散と維持によって危険なレベルにまで研磨されつつある。剣をつるす脅威の糸は、少しずつ切り刻まれつつある。なぜなら、核保有国が増加し、インターネットで核兵器製造知識の入手が可能になり、原子炉廃棄物に由来する核兵器物質の入手が可能になり、さらにテロ組織の活動が爆弾取得を念願しているからだ。ダモクレスの剣は日々危険なものになりつつある。」

 この言葉は、2011年6月18日日曜日、ポーランドのシュチェチン大学で、元国際司法裁判所次長で、ユネスコ平和教育賞受賞者であるクリストファー・ウィーラマントリ判事がおこなった講演でのキーワードであった。

 ここシュチェチンでは、国際反核法律家協会(IALANA)総会が、2011年6月16日から19日まで開催された。シュチェチン大学の憲法学教授であり、IALANAの新会員であるパスクアル・ポリカストロが指導力を発揮し、またIALANAの会長であり、ハーグ国際司法裁判所元次長であるクリストファー・ウィーラマントリー判事が基調講演をおこなった。

 活発な報告と討議を承けて、以下の結論に到達した。

1 核兵器のない世界を最終的に達成するという多くの敬虔な誓約にもかかわらず、核兵器に関する状況に大きな変化はなく、事故であれ、誤算であれ、企図されたものであれ、核兵器が使用される危険性はこれまでよりも増している。その結果、IALANAは、できる限り早期に核兵器全廃条約のための準備作業を開始させるため、その努力を倍増させることを決意している。

2 これに関連して、IALANAは、厳重かつ効果的な国際管理の下であらゆる点で核軍縮に至る交渉を誠実に遂行しかつ完結させるという、国際司法裁判所が全員一致で宣言した法的義務を強調する。

3 核兵器の法的側面についてのその専門知識に鑑みて、IALANAは、核兵器全廃に貢献する議論の余地のない主張を政策決定者と一般大衆に提示する比類のない資格を有する。その主張とは、2011年2月11日のバンクーバー宣言が示すように、核兵器は国際人道法に全面的に合致しないということである。

4 IALANAは、紛争解決のため国際メカニズムを利用し、武力による威嚇または武力の行使によらない安全保障を実現することを再確認する。これもまた核兵器のない世界の実現を促進するだろうからである。

5 IALANAは、フクシマの悲劇について日本のメンバーに対して弔意を表明し、日本のメンバーによる核兵器および核エネルギーの全廃の呼びかけを全面的に支持した。

6 IALANAは、核エネルギーの世界規模での廃絶を呼びけることを決定した。われわれに必要なことは、再生可能エネルギーとエネルギー生産の民主化とにむけた完全な転換である。

7 IALANAは、弁護士会と大学、法学生と青年法律家に対してメッセージを送ること、1988年以来追求してきた作業を継続すること、一般大衆に対して核兵器の全面的違法性についてのメッセージを伝えること並びにあらゆる段階での平和教育を促進することに合意した。

(山田寿則、浦田賢治 訳)