核兵器の廃絶をめざす日本法律家協会
 
 
 
 
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マーシャル諸島政府の核兵器保有国に対するICJ提訴を支持する声明

2014年7月23日
日本反核法律家協会 会長 佐々木猛也

 マーシャル諸島共和国は、4月25日、中国、朝鮮民主主義人民共和国、フランス、インド、イスラエル、パキスタン、ロシア連邦、イギリス、アメリカ合衆国9か国の核兵器保有国を国際司法裁判所に提訴した。

 提訴の内容は、相手国がNPT当事国であるかどうか(インド、イスラエル、パキスタンは非当事国)、国際司法裁判所の管轄権を認めているかどうか(インド、パキスタン、イギリスは強制管轄権を受諾している)によって、若干の違いはあるが、主要な請求は、次のとおりである。

@.NPT当事国が、核軍備競争の早期の停止および核軍縮に関する効果的な措置についての誠実な交渉を積極的に行わないことは、NPT6条及び国際慣習法上の義務に違反していること、NPT非当事国が同様の交渉を行わないことは、国際慣習法上の義務に違反していることを確認すること。

A.相手国に、上記の義務に従うために必要なすべての措置を、1年以内に講ずる命令を発出すること。そして、その措置の中には、「厳重かつ効果的な国際管理の下におけるあらゆる点での核軍縮に向けた誠実な交渉を遂行すること」が含まれている。

 私たち日本反核法律家協会は、核兵器の廃絶を求める日本の法律家団体として、このマーシャル諸島政府の提訴を歓迎し、連帯の意思を表明する。

 現在、国際社会において、核兵器使用がもたらす非人道的結果に着目して、核兵器使用の違法性を確認し、核兵器廃絶を求める動きが強まっている。
今回のマーシャル諸島政府の提訴は、@)核実験被害国の提訴であること、A)核兵器国に対して、1996年のICJ勧告的意見を無視していることの是正を求めるものであること、B)核兵器など大量破壊兵器の除去を求めた国連総会第1号決議から68年、NPT発効から約45年、ICJ勧告的意見から約20年である今日において、NPT6条の不履行は「人間の正義の拒絶」であるとしていること、などの特徴がある。

 当協会は、マーシャル諸島政府に対して、この提訴が、管轄権論争を乗り越えて実体審理に入り、核兵器廃絶の動きを大きく進展させる契機となるよう激励のメッセージを送る。
 合わせて、この提訴を日本国内に広く紹介し、支援と連帯を呼び掛けかけることとする。
以上