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情報・資料・意見
2009年の年頭に当っての所感
人の種の絶滅が近づきつつある
人類は生き残るためにどうするか。
池田 眞規

1.人の種の絶滅の危機が現在、現実となりはじめている。

 地球が生まれてから45億年。地球の自然条件の変化に応じて、様々な生き物の種が生まれそして絶滅という歴史を繰り返してきた。人の種が生まれて200万年位という。佐渡の「とき」と同様に、そのうちに人の種の絶滅の日が訪れるであろうが、それはあと200万年位先だろうと言われていた。ところがここ数年来、人類の崩壊や自滅が現実の問題として論じられるようになった。その原因は大きく分けて三つ。第一は核戦争が起これば人の生存する地球社会は壊滅する、第二は地球温暖化で人が生存できる自然条件がなくなる、第三は新自由主義の世界的拡散で資本主義社会が崩壊する、である。これらの三つの危機は相互に絡み合って、世界と日本の政治、財政、金融、教育、犯罪、治安、文化などにまで破壊、崩壊現象が浸透し派生しはじめている。この事実は毎日のマスコミの報道で衆知のことである。しかし、日本政府、与党、マスコミに登場する有識者のうち数名を除けば、これ等の危機に対してまともな対応策を語る公的機関も識者は極めて少ない。実際に存在してもマスコミは取り上げず、世間は関心を示さない。

2.この地球の危機に対応できないで混迷しているのは何故か。

 この人類的危機に対応できない理由を検討してみよう。
理由の第一は、この三つの人類の危機を作り出した直接の主要な犯人
が米国であることを確認しないままで、対策を考えるからである。対策を考えるには、短期的には、ソ連崩壊後、世界に君臨したものと錯覚した驕れる大国・米国が、世界に撒き散らした罪悪の数々を検証しなければならない。検証の対象は、63年前の広島と長崎への核兵器投下の国際人道法違反の犯罪行為から生ずる法的責任と使用・保持の禁止という人類的課題、自らは厖大な核を保有しながら他国には保有を許さない身勝手な政策の課題、核兵器廃絶条約の締結を拒否する政策、国連を無視した軍事優先の軍事優先外交、自国の資本の利益のために世界の国々に資本の規制緩和の圧力をかける強欲資本主義、キリスト教原理主義に立った政治方針などの世界への蔓延が、多くの世界の国々の平和、安全、経済、政治、教育の破壊をもたらした事実を検証の対象とすることが必要である。この検証なしには人類の危機への有効な対策を立てることなどできるはずもない。
  危機に対応できない第二の理由は、西洋文明の生み出した科学万能の思想である。西洋文明のその理念がもたらした科学の最高の到達点が人類が自らの自滅をもたらす核兵器であった。それは人間を、大量に、無差別に、残酷に、費用効果は割安に,言うなれば最も効率的に殺戮する兵器である。このような核兵器を許容する思想は、人間を物としてしか見ない思想である。この思想を維持したままで、現在の人類の絶滅の危機を克服する有効な対策など考え出すことは不可能である。つまり人間の理性や知能の発達のみに依存した従来の政治理念や科学の理念に欠けていたのは「生きている人間の命」を尊重する思想であった。
  三つの危機の共通点は「生きている人間の命」の尊厳を無視する思想である。だから、この危機を乗り越える闘いは、無視された「人間の命の尊厳」の回復の実現の闘いである、ということができる。

3.人の種の絶滅から生き残るための道とは何か。

 三つの危機から人類が生き残る道を、人間が頭で考えた理論ではなく「自分の体験で語ることのできる人」は、原爆の被爆者だけである。被爆者は、「人間の命の尊厳」をこれ以上考えられないほどに最大限に冒涜した原爆の攻撃により、この世の終わりの原爆地獄を体験したかけがえのない人たちである。だから人類が生き残る道を、被爆者に聞くことが一番間違いのない道である。被爆者はその受けた被害が余りにも非人間的で残酷なので、人間が今後このような苦しみを二度と味あうようなことがあってはならない、この苦しみは自分らだけで終わりにさせたいと願い、原爆を落とした米国に対し、復讐ではなく「二度と人間に原爆を使うな、被爆者に謝罪せよ、原爆を捨てよ」という驚くべき倫理性の高い要求を掲げて、半世紀以上も闘い続けてきたのである。
  被爆者の言葉は、地獄の体験から噴き出した心からの叫びであり、命の叫びである。その言葉は、仏陀や神の言葉と同じように神聖である。だから被爆者は人類の宝なのである。
  このように考えてくると、人類が生き残る道とは、人類の知能の発達によって失った「人間の命の尊厳」を実現する道の探求することになる。したがって、今後、国家間相互の外交関係や国家の人民に対する権力の行使は「人の命を大事にする」という基本理念に基づいて実施されねばならない、ということになる。
  具体的に言えば、核兵器は廃絶する、紛争の解決は「戦争という名の人間の殺し合い」ではなく、非軍事的方法の和解で解決する、経済政策は限りなき利益の追求を放任する強欲資本主義的政策から、富の偏在を規制する社会主義的政策、例えば、労働能力又は労働の機会を失った者〈病人、老人、障害者、失業者〉の生活保障、医療・社会福祉・教育などの無料化という社会保障制度の完備を目指すことである。
  そうして、これらの政策は、人の「こころ」で支えられることによって実現されることになる。これが人類の生き残る道である。
  そのための着手の第一は「核兵器のない世界」を実現する政治的合意をすることである。核兵器廃絶を実現することは、厖大な費用と最速でも最低15年以上を要する世界的な大事業である。従来の人間の社会生活構造の変革を伴うことになるかもしれない。
  それは、近代国家の構造の基本的な変革を、下部構造から上部構造まで変革をもたらす社会革命になるかもしれない大事業である。わわれは、人類の大きな転換期に生きているのかもしれない。大いなる希望を持って闘いに立ち上がろうではないか。
  2009年の年頭に当たり、所感の一端を述べた次第である。

終わり
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