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声明・決議
プーチン・ロシア大統領によるウクライナ侵略に抗議する声明

 当協会は、ヒバクシャと連帯して「核のホロコースト」を拒否する市民社会の一員として、プーチン・ロシア大統領(以下、プーチン)のウクライナに対する侵略を非難し、ロシア軍の即時撤退を求める。あわせて、核兵器の廃絶と非軍事平和規範の世界化を求める。

プーチンのウクライナに対する軍事侵攻は侵略犯罪である
 国連憲章は「すべての加盟国は、……武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、……慎まなければならない」としている(2条4項)。
 そして、侵略の定義に関する国連総会決議(1974年)は、「侵略とは、一国による他国の主権、領土保全若しくは政治的独立に対する武力の行使」と定義し(1条)、侵略行為とは、「一国の兵力による他国の領域への侵入」、「他国の領域への爆撃」などとしている(3条)。
 更に、国際刑事裁判所に関するローマ規程(2002年)は、「侵略犯罪」を「国連憲章に違反する侵略行為の、国の政治的または軍事的行動を実質的に管理する地位にある者による開始または実行」と定義し(8条の2・1項)、「侵略行為」とは、他の国の主権、領土保全又は政治的独立に反する、国による武力の行使あるいは宣戦布告の有無にかかわらず、侵略の定義決議で侵略行為とされている行為としている(同条の2項)。
 これらの国際法秩序に照らせば、プーチンのウクライナに対する武力の行使は侵略犯罪に該当することは明らかである。

侵略犯罪は正当化されない
 プーチンは、この武力の行使を正当化するために、NATOの「東方拡大」に対する防衛活動であるとしている。また、ロシア系住民に対するジェノサイドへの対応だとか、「ドネツク共和国」、「ルガンスク共和国」との集団的自衛権の行使なども理由としている。けれども、これらの事由はいずれも牽強付会の主張であって、侵略犯罪を正当化する理由とはなりえない。

人道法違反は二重の国際法違反
 ロシアのウクライナ侵略は違法であるから、一切の武力行使を正当化できるものではないが、更に許せないのは、文民たる住民に対する攻撃や民用物(非軍事施設とりわけ原子力発電所)にまで攻撃が行われていることである。民間人の死者は2000人を超え(ウクライナ非常事態庁・3月2日)、避難民は150万人を超えている(UNHCR・3月9日)、原子力発電所の施設で火災が発生している(ウクライナ外相・3月4日)。これらは、人道に対する犯罪、戦争犯罪を構成する攻撃である。ロシアの行為は武力紛争に適用される国際法(人道法)に違反する行為であって絶対に許すことはできない。

プーチンの核兵器使用の威嚇は全人類に対する挑戦
 プーチンは、核兵器を使用するとの姿勢を示し、そのための態勢を整え訓練を行っている。これは核兵器使用の威嚇である。
 そもそも、核不拡散条約(NPT・1970年)は、核戦争は「全人類に惨禍」をもたらすので、このような戦争の危険を回避し、人民の安全を保障するための措置が必要としている(前文)。
 そして、国際司法裁判所の勧告的意見(1996年)は、国家存亡の危機における違法性判断は避けているが、核兵器の使用や威嚇は武力紛争に適用される国際法に違反するとしている。
 また、2010年のNPT再検討会議では、核兵器のいかなる使用も「壊滅的な人道上の結末」をもたらすので「全ての加盟国がいかなる時も、国際人道法を遵守する必要性を再確認する」と合意されている(A原則と目的ⅴ項)。
 更に、今年1月、プーチンは「核戦争に勝者はない。核戦争は戦われてはならない」との首脳声明に署名している。
 プーチンは、NPTやその再検討会議での合意も国際司法裁判所の勧告も無視し、自身の言明を反故にして、全人類を威嚇しているのである。プーチンの核兵器使用の威嚇は法的にも政治的にも人道的にも許されない犯罪的行為である。
 核兵器禁止条約は、核兵器の使用がもたらす「壊滅的な人道上の帰結」を避けるための唯一の保証は核兵器を完全に廃絶することだとしている。私たちは「全人類の惨禍」、「壊滅的人道上の結末」を免れるために、この条約の普遍化を急がなくてはならない。

国際秩序の在り方について
 武力による国際秩序の変更は許されないこと及び紛争を平和的に解決することは国際社会の公理である。米国・ロシアはじめすべての国家が、これまでの自国の行動を反省し、今後、絶対に武力の行使を行わないことを誓約すべきである。
 また、NATOの存在や行動がロシアにとっての脅威となっていることを否定することはできない。NATOなどの軍事同盟は、緊張を高め世界を危険にさらすことになるので解消されるべきである。

軍事力による安全保障からの脱皮を
 武力による紛争解決は「最終兵器」である核兵器に依存するがゆえに、「全人類の惨禍」や「壊滅的人道上の結末」を覚悟しなければならない。核兵器による抑止が平和と安全を確保するというのは「存在する最も危険な集団的誤謬」(1980年国連事務総長報告)である。事故や誤算による核兵器発射もありうるし、そういう事例も現実に起きている。抑止が破綻すれば「核のホロコースト」が引き起される。核兵器に依存する安全保障は背理なのである。
 それと対極にあるのが「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、…安全と生存を保持する」という思想である(日本国憲法前文)。
 今、ウクライナの人々に連帯して、ロシアにも当局の厳しい弾圧にめげずに反戦行動に出ている市民がいる。世界各地で多く市民がロシアの侵略犯罪を糾弾する行動に立ち上がっているが、その手に武器はない。
 今、私たちは、武力による国家安全保障には限界があることと、武力の行使が私たちを破滅へと導くことを目の当たりにしている。9条を敵視し核共有などを言い立てる愚かで危険な言動に対抗して、核兵器廃絶と日本国憲法9条のような非軍事平和の国家規範の世界化を推進しなければならない。

2022年3月10日
日本反核法律家協会会長
大久保 賢一
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